「キョウコのキョウは恐怖の恐」 諸星大二郎・著 /講談社BOOK倶楽部
伝奇・ホラー漫画でおなじみの諸星大二郎の初の小説集。雑誌に掲載された5篇の短編を集めたもので、各篇に1枚ずつ本人の挿絵つき。
いずれもホラー小説で、普段の絵から文章に舞台が変わったとはいえ、日常のすぐ裏側にある、暗くて恐ろしい非日常の雰囲気を作り上げるのは流石。 ただ展開的に、読み進んで徐々に怖さが深まっていって、「くるぞーくるぞー、そろそろかー?!・・」といよいよ恐怖の核心に近づく!、というところで真の恐怖には会わないというか、そのまえに明るいところへ出てしまう感じ。 クライマックスで救いようのない悲劇までは落としてくれない。 ハッピーエンドではないけども、諸星風の淡々とした感じで終わる。