2004年 05月 10日
CASSHERN (注意:ネタバレ含む、長い)
CASSHERN.COM 公式サイト

プロデューサー: 宮島秀司 / 小澤俊晴 / 若林利明
監督・撮影監督・編集: 紀里谷和明 脚本: 紀里谷和明 / 菅正太郎 / 佐藤大
美術: 林田裕至  撮影:森下彰三  VFXスーパーバイザー: 木村俊幸
CGディレクター: 野崎宏二  CGスーパーバイザー: 庄野晴彦
キャスト: 伊勢谷友介 / 麻生久美子 / 寺尾 聡 / 樋口可南子 / 小日向文世 / 宮迫博之 / 佐田真由美 / 要潤 / 西島秀俊 / 及川光博 / 寺島進 / 大滝秀治 / 三橋達也 / 唐沢寿明


 ひとつひとつの映像は、写真家・ミュージックビデオ出身の監督らしく、きれいで"雰囲気"が出ているっぽいけど、ちょっと特殊効果がやりすぎていたり、もの足りなかったり、意味がよくわからなかったり。
 何より、それらの一つ一つの場面はよく出来ていても全部がつながっておらず、ストーリーのつじつまが合わなくて、
突っ込みどころ満載でした。

 単純に「こういうイメージきれいだよね」「こんな動きかっこいいよね」という、描きたい"イメージ"や"雰囲気"や"コンセプト"をつなぎ合わせただけ、って感じ。 別分野で売れて出てきた素人に時間と金渡したら、ああやっぱり、みたいな。 本当はもっと長くて編集で切り落としたのかもしれないけど、だとしたら切り方が変。いろんなCMとかミュージックビデオくっつけて長くしたものを見せられてる感じかな。

 CGや特殊効果は、まあ日本映画の割りによくやってるんだけど、煙や光やフィルター的なのが多くて、ちょっとごまかされてる感じ。 あとアクションもフィルムの回転を速めたり遅くしたり、殴られて真っ直ぐ飛んでって壁をドカーンて壊したりとどっかで見たような。 1個1個のシーンはきれいなんだけど、乱反射みたいなのとか「その意味無く光ってる、妙な光はなんなの?」ってのが多いです。一言でいうと「うざい」かなあ。 肝心の部分は手を抜いたり(機関車の車輪から埃がたたないとか)。


以下、重箱的突っ込み。

 いきなり幽霊が自分の死体を見つめちゃうのは、まあ有りかなあ、とも思うけど、ちょっと「えー?」。

 新造細胞培養プール(バラバラ死体がぷよぷよ浮いてる、血の池地獄w)にいきなり落ちてくる巨大な柱、あれ何(´Д`)? しかも後でいきなりその柱が壊れちゃうし。 そしてそこに雷が落ちてきて新造細胞液からブライ(唐沢寿明)ら、新造人間が生まれるんだけど、
今時フランケンシュタインですか?w そのプールに(しゃぶしゃぶみたいにw)つけておくと死体が生き返るって…。 で、偶然にも生まれてきてしまった新造人間さん達をいきなり兵隊が殺してしまうのが意味不明。 ミッチーがパニクって命令出したってこと? そして新造さん達に最初から意識や知能や言語能力があって車の運転までしちゃうのが違和感感じますね。 最後のネタバレから考えるとまあわからなくもないけど…。

 逃げた新造さん達が途中で死んだ赤ん坊を雪に埋めるんだけど、単純にあの子供は誰の子かわからん。生前(?)の唐沢ブライと奥さん(鶴田真由かな?)の子供かな?
 で、新造さん達が苦労して逃げた先に都合良く城があって、ロボット工場があるのが理解不能。あれは元々誰のなの? 死体とか設計図とかあって、誰かがなんかやってたのはわかるけど…。 ブライが何故彼らの中でボスになれたかも不明。いつのまにかリーダーなってた。

 なんかね、全体的に効果を高めるためにやたら白黒にしたり暗い画面にしたりサブリミナル的なフラッシュバックとか派手な映像表現を使うんだけど、やりすぎてて、”誰が今何してるか”もわかりにくいのよ。説明もないしね。疲れるし。 

 メカデザインや風景デザインなどは、スチームパンクな世界観が確立しかかって、でも、せっかく固定電話は黒電話なのに今風の携帯電話を使っちゃうのは何でよ。

 敵ボス・ブライとの最初の対決シーンで、キャシャーンは一人で立てずに恋人ルナに引っ張ってもらうほどヨレヨレだったのに、火炎放射くらったら急に元気になってロボット達をなぎ倒していくのは、何で? 他にもこういう「ヨレヨレ→急に元気」またはその逆が多い。


 せっかくのキャラが立っていない。個性的ないい俳優を使ってアニメ特有の特長的なキャラクターを演じさせているのに。 大帝国に君臨し支配地域の民族を食い物にし、生にしがみつく病んだ老支配者(大滝秀治)や参謀達、そんな国を憂う息子(西島秀俊)とそのクーデター劇(と失敗)。 下級階層出身で出世を望む軍需メーカーの人間(ミッチー)。 妻を救うこと(だけ)を考える学者(寺尾聡)。 戦死したはずなのに、無敵の体で生まれ変わった主人公。 生まれてきてしまい追われ殺される新造人間たち。 満足にしゃべることも戦うことも出来ないが気はやさしいアクボーン(宮迫ーっです)・・・。 これだけキャラが揃っているのにもかかわらず、どれも満足に描けていない。 もっとドラマを拡げられるのに。 例によって雰囲気、イメージだけで「この人はこうですよ。そういうことにしてくださいね。 足りなければパンフレットや雑誌記事やHPで事前に勉強しておいてね。」と言われてる感じ。 「ああ、きっとこの人は○○な人で、画面に見えてないけど、裏でいろいろやってるんだろうなあ。そうだ、そういうjことにしよう。」と自分で無理矢理補完しなくてはならないのが辛い。「こういうことをした人だから、あーいうこともしてるはず」の「こういう」が無いので「こういう」も「あーいう」もしたんだろう、と思ってあげなくてはいけない。
 たとえば、ブライ達の誕生時に兵隊に追われ撃たれて、それで人間たちを憎むのはわかるけど、それによって、長ったらしく正義だ悪だ戦いだと語ったり、全人類達を抹殺しようとして大ロボ軍団をったりと、ものすごく憎む過程が理解できない。 
 宮迫とかミッチーもあれだけで1本ドラマ作れるぐらいのキャラなのに。
 ルナとミドリのW癒し系キャラ。ひとりでいいんじゃない? てか、キャシャーンじゃなくてもいいんじゃない・・・。 キャシャーンの設定を一部自分に都合のいいように借りてったような。 ルナは、恋人の死や父の死や敵の来襲とかいろいろあってもずっとぼーっとしてたような・・・。 ブライの城へキャシャーンとアクボーン抱えて一緒に行っちゃうのもよくわからない・・・。

 キャシャーンがロボ達を倒すのを見た(らしい。どうやら)子供が、キャシャーンに「やーい化け物!!」って石を投げるシーンは取ってつけたようだし、そもそも色々なところでもう何度も見たよ(アトムとか。仮面ライダーとか)。それで主人公が苦悩したり葛藤したりしないんだよねw。ただシーンがいきなり挿入されてるだけ。

 戦闘シーンが意外に少ない。大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合の戦いだとか、新造人間ロボ軍団の帝都への逆襲(陥落したのか、どうなのか)、キャシャーンと新造さん軍団。大陸の距離感が不明なのもあるし。 どれぐらい戦闘がひどくて、どれぐらい虐殺や虐待が行われているのかわからないためクライマックスの憎しみだの戦争だのの演説に説得力がない。

 キャシャーンと恋人ルナが街から逃げていって、医者(三橋達也)に見つかる汚染地域のシーンはナウシカの腐海のパクリっぽい。

 最後のシーンの死体やキャシャーンから抜けて上っていくヒトダマみたいなのは魂?(w。しかも、宇宙まで飛んで
エバンゲリオンのパクリですかぁ??(巨大天使像のモチーフも)。(追記:イデオンて説もあるらしい)。
 その前に博士がルナを射殺する意味もわからんし、死んだルナが生き返るのも謎。ふたり抱き合っていきなり破裂しちゃうのも謎。 博士と妻はどこ行ったんだろ? 何千何万と死んだ戦場で最後に小さい親子げんかするのもわからん。 

 あとCMで流れる決め台詞「キャシャーンがやらねば・・・」を期待してたのに無かった・・・詐欺ーっ!!w。

 ヒーロー特撮モノなのに、隣の中学生か高校生グループがすっげー退屈そうだったw。とくに愛だの人類だの憎しみだの語ってる場面。

 さて、ものすごく長くだらだらと書きまくってしまったけど、まとめると、

・素人にありがち(?)、話拡げすぎで辻褄あわなさすぎ。脳内イメージ、わかりにくすぎ。
・寄せ集めビデオ集みたい。
・すべてどこかで見た映像ばかり。目新しいものが無し。
・別に「キャシャーン」でなくてもいいのでは? ていうか”娯楽大作”じゃなくていいのでは? 娯楽にしたいなら娯楽に徹してほしい。
・戦争の悲惨さだの、人間の愚かさだの言われても・・・。なんというか、「今」そういうことを「キャシャーン」というタイトルの映画で言われるのは・・・。 それならプライベートライアンの上陸シーンや、地獄の黙示録や、はだしのゲン見るよ。 ちょっと鼻につく。

参考:「映画「キャシャーン」よくある質問と答え 第八版(第九改訂版)」
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/5501/casshern1.html
後で見てみる。ノベライズ小説があって、それでいろいろ説明があるみたい?

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by iku-2002 | 2004-05-10 03:07 | Cinema | Comments(3)
Commented by しま at 2004-05-10 13:55 x
ツッコミどころ満載はキリヤ監督自身がそう言ってるのをみました。あらかじめ自分で予防線はってるみたいで「うーん」って思ったんですが、実際観たら本当にツッコミどころ満載でちょっとおかしかったです。
Commented by Tomo at 2004-10-27 23:14 x
こんにちは. 公開時にも観て概ね殆ど全く同じ感想 (イメージ先行映像の寄せ集め感, ストーリーテリング不明確, etc.)持ちましたが, DVD出たんで今一度チェックしました. 感想は全くかわりません.( ´∀`)

ただ, 研究サイトやコメンタリーからいろいろ学習しまして, 本編中で明かされない最大の謎 - 主人公の結末がわかったので報告します.

Q: 死んだルナが生き返るのも謎。ふたり抱き合っていきなり破裂しちゃうのも謎。

A: 死んだルナはブライに重なるように倒れたため, ブライの新造細胞が入り込みブライ混じりの新造人間として生き返りました. ブライが混じっているのでブライの意志でキャシャーン殺害を決行してしまいます. 殺害方法は, 新造細胞が増殖して破裂してしまうのを防ぐための拘束服を破るというもので, 破裂しちゃったのはそのためです.

…てな感じなんだけど, 他人に操られて恋人を殺めようという状況でルナは随分落ち着いてるのが不可解. まあ最初の方から肉親の死にもあっさりしていて, リアル戦争映像挿入するのもただのファッションにしか見えないのが腹立たしい. 作り手は多分, 劇中のメッセージのようなことは本気では思っていないんだろうな.
Commented by iku-2002 at 2004-10-28 00:08
どもこんにちは、DVD買いましたか。 なんかもう細かいところは忘れてしまった、&どうでもよくなりました。 デビルマンのインパクト強すぎてwww
なんかバックボーンをある程度説明したノベライズみたいなのがあったらしいですね。


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